【事例紹介】大阪・関西万博を支える新たな技術 3Dプリンター 〜1/1000スケール都市模型の受託製作事例〜
「7メートルの都市模型を、1.5ヶ月で作れますか?」
私たちYAMが挑んだのは、まさにそんなプロジェクトでした。
限られた時間で約1700棟の建物を3Dプリントし、地形ベースと組み合わせて巨大なジオラマを構築。
本記事では、YAMの受託・造形サービスの舞台裏にある技術と工夫をご紹介します。
大阪・関西万博向けに、巨大ジオラマ製作

大阪・関西万博の展示品として、直径約7メートルという巨大な都市ジオラマ模型の製作をご依頼いただきました
詳細は非公開ながら、お客様からいただいた都市データを元に設計・短期間で大量の建物模型を3Dプリント。加えて都市データを分割し地形土台に建物模型を組み合わせる構成のため、スケールの大きさと精度の両立が求められる、YAMにとって非常にチャレンジングな案件でした。
ご相談の内容は、「1/1000スケールで都市全体を再現したジオラマ模型を製作してほしい」というもの。ジオラマの直径は約7メートルにおよび、構成される建物はほとんどが手のひらサイズで、その数はおよそ約1700棟。試作工程を経て、本製作にあてられる期間は1.5ヶ月というタイトなスケジュールでした。
プロジェクトの流れ
一貫対応の体制を構築
本プロジェクトでは、以下の工程で製作を進行しました。

YAMでの制作工程は、ヒアリング・データ編集から始まり、3Dプリント用への設計調整、出力、塗装・ジオラマ用植栽などの仕上げを経てアセンブリ・納品までを一貫して対応しています。
加えて、塗装・植栽表現については外部パートナーに依頼しつつ、YAM側で全体の進行と品質管理を行いました。
スピードを支えた機材と素材の選定


実際の都市データベースをもとに、かつてないスケールのジオラマを、限られた期間内で造形を完了させるため、YAMではまず、一度に大量出力が可能な3Dプリンターを新たに導入。さらに、1回あたりの造形時間を短縮するため、高速造形に適したレジン素材も採用しました。
機材と材料の両面から造形スピードを最大化することで、短期間に対応できる出力体制を実現しています。
はめ込み構造に対応した設計の工夫

また、YAMが提案した設計では、地形ベースに各建物を”はめこむ”構造を採用。3Dプリント特有の「反り」や「歪み」が発生することを想定し、設計段階から適切なクリアランス(すき間)を確保し、お客様から提供されたデータをもとに最適化を行いました。
毎日フル稼働で1700棟を出力
製作期間約1.5か月の間、3Dプリンターは毎日毎日フル稼働。計画的な出力スケジュールと造形体制のもと、約1700棟の建物を着実にプリントし、短期間での製作を実現しました。YAMはこのプロジェクトを通じて、3Dプリントの力で大阪・関西万博のような国際プロジェクトを形にする役割を果たしました。
スピード・スケール・精度を両立する製作力
今回のような大規模な模型製作でも、3Dプリンターを活用することで実現が十分可能です。
YAMでは、多様なプリント方式と材料特性への深い理解をもとに、目的や条件に応じた最適な製造プランを構築してきた実績があります。
秘密保持契約(NDA)を必要とする案件にも対応しており、「短納期」「大型サイズ」「複雑形状」など、模型製作に関するさまざまな課題にも柔軟に応えます。まずは一度ご相談ください。